東京高等裁判所 昭和26年(う)6228号 判決
所論に基き本件記録を精査するも、原裁判所が刑事訴訟法第五十一条の規定を無視して本件訴訟当事者として公判調書の記載の正確性に対する異議申立権を不能ならしめた手続上の違法ありと認めることを得ない。尤も所論援用にかかる上訴記録送付書の記載によれば、本件記録は原裁判所において、原判決の宣告を為した公判期日の調書の整理のできた日である昭和二六年一二月二三日より起算して、公判調書の記載の正確性についての異議申立期間内である同年一二月二八日に当裁判所に送付せられたことを看取することができる。然し乍ら前記公判調書の正確性についての異議の申立は、本件記録が原裁判所に存在すると否とを問はず法定の期間内に原裁判所に対してこれを為すことができるものであつて、本件記録が当裁判所に送付せられたの故をもつて右異議申立権の行使を不能ならしめるものではない。それ故此の点の論旨はその理由がない。